「伯爵と平凡な娘」

ガラ・コンサートとある愛のかたち

あとがき

『伯爵と平凡な娘』、第二節(?)「ガラコンサートとある愛のかたち」を読んでいただきありがとうございました。
前作「ハロウィンと彗星の夜」の後日談では「次はシビラの話」と言っていましたが……どうしたことでしょう。まぁお話の神様とか悪魔は気まぐれってことでご容赦願えればなぁ、と思います……。

『伯爵と平凡な娘』自体はそもそも2006年のハロウィン単発作品の予定でした。
それが意外なご好評をいただき、また私自身の中にもキャラクターが心地よく住み着いてくれまして、今回のお話を書くことになりました。今回のお話はそういう意味では、皆さんに応援していただいてできたお話です。本当にありがとうございます。


さて。
今回は主人公のアンナマリアは、お話の中ではどちらかといえば傍観者的な立場のものとなりました。もともとシリーズの中で「恋愛」と「音楽」に関することは書きたいなぁと思っていたのですが、アンナマリアはどうもそちら方面は鈍い子でして、彼女の恋愛はなかなか書けません。
そこで今回は「アンナマリアがある愛のかたちを知る」というお話にしてみました。
そしてその恋愛は悲恋にしよう、と思っていたのです。
そう、実は「悲恋は長い時をかけた美しい愛の物語へと昇華した」という最後の蛇足的な部分はなかったのです。でもそれではちょっとあんまりにもあんまりなんではないかとも思い、かつ伯爵は尋常じゃなく長生きできるので、「とある愛の結末」を見守ってもらおうかなぁと思いこんな終わり方になりました。
アンナマリアが「結末」を聞くのは、たぶんあの屋敷の外で、彼女自身も「ある愛のかたち」を成就させている時かもしれません。その時彼女はどう思ったのかなぁと思います。
ただ、アルフレートが一度目の結婚をしたときは、彼女相当なショックを受けたと思います。
「ひどい!裏切り者!」
みたいな。ええ、夢見る少女的な部分あるので、ウラニアさんには(笑)。
さてそんな当の本人たち二人ですが。
アルフレートはひどい寂しがり屋なので、独りは耐えきれなかったようなのですが、やっぱりミサキ以外とは上手くいかなかったのです。
美咲のほうは「忙しくて気づいたらこの歳まで独身でした」を地で行っていそうなタイプです。実はその間にも、彼女は研究とか旅行とかで「この国」に行っているんですがね。そこらへんの心境はご想像にお任せしようかなぁ、と思います。それこそ本当に蛇足でしょうしネ。

最後に。
このお話にインスピレーションを与えてくださった方がいます。
ドイツのミュージカル役者、Uwe Kroeger氏に感謝を。氏の歌声を聴くまでいまいちアルフレートがどう歌っているのか表現しがたかったのですが、Uweさんの素晴らしい歌声でなんとか書くことができました。特に“死神の歌”はUweさんの代表作ミュージカル『Elisabeth』の"Der Tod"のソロ「Der letzte Tanz」から影響受けまくりです。本当にありがとうございます。

またここまで読んでくださった皆さんにも、ありがとうございます。

2008/11/03 昴秀竜

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