The Mage and The Knight of Amnesia

―魔法使いと記憶のない騎士―

+世界・用語案内+

―世界案内―

“大陸” 

大地母神と天空父神が作りたもうた、丸き球にある大きな陸地。
大陸の他に世界には“海”と“島”がある。
大陸と呼ばれる大きな陸地は一つしかない。
大陸は人間や宝妖などの“子供たち”住んでいたが、大地母神と天空父神から独り立ちしてからは、子供たちは争いの日々を送ることに。
だが今から二千年前、リュオン王国から一人の若者が出、大陸を統一し平和をもたらした。“金獅子王”と呼ばれた若者にちなんで島国などから“獅子王大陸”と呼ばれることもある。
しかし現在では統一はくずれ、再び大陸は様々な国や領土に分かれている。


リュオン王国

大陸の東半分を治める大国。
かつて金獅子王を輩出した偉大な国だが、近年では弱体化。
現在の王は前王の娘クローディアのはずであるが、戴冠式は未だに挙行されておらず、彼女の叔父で摂政であるトランキルスが実権を握っている。

リュオン王国主要都市
王都
  王のいる宮殿がある都。リュオン王国の首都。
  本当は統一王の名を冠した街であるが、ただ“王都”と呼ばれることが多い。


ローランド皇国

リュオン王国から樹海をはさんだ大陸の西半分を占める大国。
“王よりも高きところにある皇帝”が治める国。五百年ほど前にリュオン王国から独立を勝ち取った。
今のところリュオン王国の脅威だが、国内に大公領の分離・独立問題を持つなど問題も抱える。

ローランド皇国主要都市
首都
  皇帝の住まう皇宮と政が行われる施設がある街。
  もともとは“ローランド公爵家領(後の皇帝一族)”の居城があった場所で、
  場所の名前はそのものすばり“ローランド”である。
  国の名前と混同されるため、単に“首都”と呼ばれることが多い。
プフェーアト・シュタート
  樹海に程近い場所にある中程度の都市。
  名産品は馬もしくは馬に関わるものすべて。
  もともとは馬以外に何のとりえもない小さな円村だったが、
  ルシアス一世の時代に整備され都市となった。


樹海

リュオン王国とローラント皇国の間に横たわる広大な森。
今のところ両国の緩衝地帯になっているが……。


“宝妖の都”

樹海に都を作る異種族・宝妖の都。
<一ノ都>から<伍ノ都>まであり、それぞれ自治。元老会によって連携を保っている。
樹海が二つの大国の緩衝地帯になっているため、時折対立に巻き込まれることも。

“宝妖の都”主要都市
<一ノ都>
  元老会の長、ダルグレンが所属する都市。樹海の一番南に属する。
  ダルグレンは若い頃から人間と係わり合いを持っており、そのためこの都が
  宝妖の都の中で最も人間に対して寛容であり、排他意識も少ない。


東ノ国

亡国。15年ほど前にリュオン王国に降伏した、遊牧を生業とする人々の草原の国。
現在では、その国があった地域を指す語として使われる。
一部自治が認められており、その地域の特色であった部族制は維持されているが、リュオン王国の搾取の対象になってしまっている。

東ノ国主要都市
リュウジョウ(竜城)
  元々は部族のまとめ人である長の“天幕がある場所”を指した語であり、
  季節ごとの遊牧によりその位置は変わっていたが、降伏以降当時の場所
  に止め置かれている。それ以来この語もその一定の場所を示す語となった。


※このほかにも国や特色ある地域は存在するが、物語中には登場しないので割愛。



―用語案内―


大地母神(読み―だいち・ぼしん)

大地を創りたもうた女神。生命の親の一柱。
地域によっては「クムル」とも呼ばれる。


天空父神(読み―てんくう・ふしん)

天空を創りたもうた男神。生命の親の一柱。
地域によっては「カムル」とも呼ばれる。


魔法・魔力

この世界に住む人々には多かれ少なかれ魔法を操る力「魔力」が備わっているが、全員がそれを具体的な「魔法」として操れるわけではない。
「魔法」が操れるか否かは、――数が少ないということを除いては――運動が得意か勉強が得意かという程度のことと同じである。
ちなみに「魔力・魔法」の仕組みは現在研究段階にある。今のところは「自然」もしくはそれを象徴する神と胎児の段階でなんらかの接触があったものが、その能力に優れるのではないかと言われている。
「魔法具」と呼ばれる物は人に備わる「魔力」を増強し利用するものであることが多い。


邪王の一族(読み―じゃおうのいちぞく)

金獅子王の腹心、邪王の血と“三つの遺産”を受け継ぐ人々。
同じ時代に一族は一人しか存在せず、その存在を知るものもごくわずか。
ちなみに“三つの遺産”とは“邪王の知識”、“紅邪刀”、“青癒の指輪”というものだという。


“紅邪刀”(読み―こうじゃとう)

黒い鞘に黒い柄を持ち、柄の付け根に真紅の珠を持つ片刃の剣(一説には“刀”という武器の一種)。
始祖の邪王から代々“邪王の一族”に伝わる遺産のひとつ。
世界創造のときからの“負なるモノ”を集め力にしているという話があるが……。


“青癒の指輪”(読み―せいゆのゆびわ)

青い石がはまっている大きな指輪。
“紅邪刀”と同じく邪王の遺産のひとつで、“紅邪刀”とは対を成す。
その力は“正なるモノ”であり、癒しや退魔、結界をはるなど色々と役に立つ。


“邪王の知識”(読み―じゃおうのちしき)

邪王の三つの遺産のうち最も重要なもの。
継承の儀式のときに先代の“邪王の一族”から受け渡されるという。
天地創造から未来永劫の知識を秘めているというが、個人の力によって引き出せる知識の幅が変わってくる。
始祖の邪王は知識を使いこなしたというが、その後遠い未来や天地創造を知識の中で見れたものはいないという。
なお、稀に勘違いしているものもいるがあくまで“知識”であり、“知恵”ではない。


真言主(読み―しんごんぬし)

「真言」とは真理なる言葉の意。“せかい”の真理を知り、真理なる言葉を操る一種の賢者ともいえる存在が真言主。
だが“せかいの真理”を表現するのは容易ではないため、その存在はあまり世間には知られていない。
現在の真言主は“世界の真理”を“宇宙の背骨”と言い表している。


宝妖(読み―ほうよう)

人とは異なる種族のひとつ。
額に命の源である“種宝(しゅほう)”と呼ばれる宝石を持ち、高い魔力と戦闘能力、知脳を持つ。「惑星の子ら」とも呼ばれる種族で、その成り立ちは人間とは全く異なる。
樹海に五つの都をつくって暮らしている。それぞれの都は元老会によって繋がっているがそれぞれ自治。
また、地面に住むことはなく五つの都はすべて“白生樹”と呼ばれる特殊な大木の枝が絡み合った中空にある。



―語られる人々―

金獅子王(読み―きんじしおう)

二千年前、大陸を統一した王。獅子のような金の髪をしていたことからこう呼ばれる。リュオン王国の出身。
彼の話は、すでに伝説の域に達しており、リュオン王国では畏敬と信仰の対象にもなっている。


邪王(読み―じゃおう)

禍々しいその名に反して、金獅子王の腹心であった人物。
その名と功績以外がすべて闇に消えた謎の人物。
ただ、“三つの邪王の遺産”を受け継ぐ彼の子孫と名乗るものが現代まで生き残っている事実がある。


“金獅子王の威光が終わる時代に生まれた息子”(読み―きんじしおうのいこうがおわるじだいにうまれたむすこ)
“邪王の一族”の一人。オメガと呼ばれる。エレオノーラの曽祖父。
邪王が亡くなって以来、初めてリュオン王国の政の中心近くにいた人物。
彼が死ぬと同時に、栄光の時代は終わり、世界は再び混沌に陥ったという。


“四本爪の龍”(読み―よんほんつめのどらごん)
本名ルシアス=サーガ・ローラント。皇帝としてはルシアス一世と呼ばれる。
三百年ほど前のローラント皇国中興の祖。
内乱に陥ったローラント皇国を立ち直らせた。左手の小指がかけていたことからこう呼ばれる。
左目の視力を内乱で失っていたため、“隻眼の帝王”と呼ばれることも。
彼が臨終間際に遺した「私の葬儀では凱歌を歌え」の言葉は有名。


“帝王に愛された娘”(読み―ていおうにあいされたむすめ)

ルシアス・サーガ・ローラントの妻。つまりルシアス一世妃。
その正体は、“邪王の一族”の女性リューイ。
“邪王の一族”では唯一リュオン王国以外の国の政に関わった人間。
またそのルシアス一世との恋物語は吟遊詩人に好まれ、乙女のあこがれとなっている。
ルシアス一世との間には二人の王子をもうけた。

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